22年と5ヶ月働いた職場を辞めるということ
退職の決断は、全く容易なことではありませんでした。
・良好な人間関係
・仕事へのやりがい
・安定した収入
それらに包まれた日々はとても幸せで、簡単に手放す理由は逆にありませんでした。
特に、『良好な人間関係』は、お金で買えるものではないもので、誠心誠意、時間をかけて積み上げた宝物だったと思います。
それでも私は「たった一度の人生」を、自分の可能性を信じ、考え抜いて決断しました。
退職は新しいスタートでもあるけど、切ない別れでもあります。
新卒の初々しい新人時代、昇格したり専門資格を取ったり、そして患者さんのことで悩み泣いたり笑ったりと。たくさんの思い出があります。
退職を決めたことは、決して簡単な時間ではありませんでした。
でも、それらの愛しい時間や幸せな日々を思い出すことで、別れに対する悔いや自分の決断の揺らぎはなくなるのかもしれません。
泣いてくれた人たち
まず、部署のスタッフの人たち、そして何より、若い看護師さん達の涙は、後ろ髪ひかれるような心温まるけど切ないものでした。
「私が辛い時、そっと声をかけてくれた。」
「あの時、あの言葉をくれた。」
など。可愛い愛おしい次の世代の人が伝えてくれた気持ちに、こちら側が感謝の気持ちでいっぱいになりました。
5つの部署が開催してくれた壮行会
・栄養科
・担当していた2病棟
>コロナ病棟(元地域包括ケア)
>緩和ケア病棟
・リハビリ科
・医局(病院全体のスタッフ)
多くの人にかけられた言葉、私が伝えた言葉、それらはこれからの私の糧になるものです。
会いに来てくれたたくさんの人達
退職の月や直前の週、そして最終日は、それはそれはたくさんの人たちが会いに来て下さいました。
退職した管理栄養士さん達や調理師さん、調理助手さん。別の病院の管理栄養士さん。
退職後や産休中の看護師さん達などなど。
最終日から2-3日間は15分単位刻みくらいで(汗)、ややてんてこ舞い状態だったけど、その気持ちと時間に感謝でした。
たくさんの手紙とプレゼント
両手で持ちきれないほどの花束とプレゼントの数々。
思いのこもったお手紙、一生の宝物ですね。
当日に花束、翌日と翌々日に車で持って帰りました。
愛し愛された人間関係
「尊敬と信頼と感謝」、私が大切にしている人間関係の根幹です。
医療職としての専門性を高め、患者さんやご家族、スタッフと誠心誠意向き合い、たくさん愛したから愛された。そう思います。
病院って非日常の現場そのもの。医療者も、患者さんの生きてきた全てを受け止める。そして病気になっている人、特に死を間近に迎える人というのは、相手の本質を見抜く感覚が研ぎ澄まされています。
だから私たち医療者も、「身ひとつ」で、患者さんと向き合います。経験や知識だけではない、人間の本質を少しでも高める必要があります。
これからも、自分を愛し、人を愛し、多くの人に愛されるような人生を歩める自分でありたいと思います。
「後悔などあろうはずがない。」
とても満たされた病院勤務だったと今でも思います。22年間働いてよかった。努力してよかった。スタッフはもちろん、患者さんとそのご家族に出会えてよかった。心から思います。
そして、退職してよかった。自分が決めた道を信じて進んでよかった。
今、そう思っています。
これからもっともっと多くの出会いや出来事があるでしょう。
楽しみながら、誠心誠意向き合っていきたいと思います。