病院勤務時代に感じたこと
22年間の病院勤務時代、多くの患者さん、疾患をもった方と出会った。
もちろんその時に、「なぜ」病気になったのか、という原因なんて追及しない。
「あなたは、こういう生活習慣だったから病気になったのですよ。」
「あなたは、このような思考だったから、がんになったのですよ。」
そのような、泣きっ面に蜂のようなことはしないし、考えもしない。
医療チームが一体となり、ただ目の前の患者さんの症状や苦しみを、取り除き緩和し、治療していく。
その次に、どのようによりよく生きていくかのサポートをしていく。
貧困の問題
病気になるのは、貧困の問題も大きい。
貧困による無知
貧困による制限
貧困による孤独
「日本では、どんなにお金がないといっても、年200万円くらいは稼げる。」なんてことを、著名人のSNSで聞いたことがある。
「日本には生活保護もあるし。恵まれてる。」なんて言葉も。
私はそれは違うと思う。本当に多くの貧困の方を見てきたから。
太陽の光が全くあたらない長家のようなところで、トイレもキッチンも共同で、診療所に通うことが、人との唯一の接点という方が、若い方も含めて多くいた。
貧困は栄養に関する知識の不足を引き起こし、健康的な食事を手に入れることすら制限する。
また、貧困は孤独やストレスなどの心理的な側面も引き起こし、健康に悪影響を与える可能性が大きい。
私たちができること
病院だからこそ、できたことがたくさんあった。
無料低額診療制度を活用したり、生活保護申請の手続きをしたり。
訪問診療では、寝たきり独居の方もたくさんいた。
命の現場では、大金持ちでもそうじゃなくても、何も関係ない。
実際に、「お金たくさん払うから、もっと長時間そばにいて欲しい。」という患者さんもいた。
今、何ができるのかと考えると、よほどの資産がないと、「貧困対策」なんて大きなことはできない。
キレイゴトではないから。
でも、一人一人が意識をして、フードロスを削減したり、少額でも寄付をしたり。
他人事ではなく、同じ地球に生きる人間として、考えて生活していければと思う。
最後までお読み頂き、ありがとうございました