病院のカルテの書き方で重要なこと 〜単なる記録ではなく人生を残す〜

目次

病院のカルテ=診療録

患者を診察する際に記録される診療記録がカルテ。

患者に関するさまざまな情報を、
関係する多職種が時系列に記録することで、
適切な医療を提供するうえで重要な役割を担っています。

この記事では、
詳細なルールや書き方を伝えるものではなく、
特に終末期において、

私が大切にしていた考え方を記しています。

基本のSOAP

下記の「S」「O」「A」「P」の頭文字をとったもので、
これらの4つの項目に沿って記録します。

S:Subject(主観的情報)
O:Object(客観的情報)
A:Assessment(評価)
P:Plan(計画)

医師、薬剤師、リハビリセラピスト、管理栄養士など、
ほとんどの職種が、SOAPに則って記録しますが、
看護師は、フォーカス・チャーティングもあります。

また管理栄養士は、
栄養ケアプロセス:NCP(Nutrition Care Process )もあり、
職能により、専門性に特化したものやルールがあります

特に重要な「S」と「A」

私が特に大事にしていたのは、「S」と「A」。

患者さんやご家族が、
S:何を話していたか、何を伝えたいか

そしてそれを、
A:専門職としてどのように評価するか

が重要です。それに尽きるのです。

Sがいかに重厚か、
Aでいかに患者の「状態」だけではなく「想い」を汲み取るか。

Oでは、血液検査データや、
CT画像などを貼り付けるのみではなく、
フィジカルの状態こそが重要になります。

そしてPで、
専門職としてのプランニングを記載する。
それは、他職種へのメッセージにもなります。

それぞれの専門職が、
患者さまやご家族と共有した尊い時間、
それを記載したカルテ。

それらが私たち医療チームの、
共通の想いとなり方向性となります。

ただのデータじゃない、人のストーリー

カルテに書かれるのは、
症状や治療の記録だけではなく、
その人の生き方や感じていること、
そして時には心の痛みまでも反映されます。

たとえば、
患者さんが病気とどう向き合っているのか、
どんな生活を送っているのか。
それって、単なる医学的な情報じゃなく、
人生の一部なのだと思います。

患者さんと向き合うために

医療者にとって、
カルテを書くことは日常の一部。

でも、患者さんやご家族にとっては、
一度きりの大切な人生の一瞬。

だからこそ、
医療者はその人の背景や感情を
少しでも反映できるように、
丁寧にカルテを記載することが大切だと感じています。

カルテに温度をのせる

カルテは医療の記録だけど、
書く内容に少しの「温かさ」を
加えることができます。

「この人の気持ち、どうだろう?」
「何を大切にしているんだろう?」と
考えながら書くと、
カルテが単なる情報の羅列ではなく、
その人の人生を映す一部になります。

未来への贈り物としてのカルテ

もし、カルテを読み返す瞬間が訪れるとしたら、
それはその人の人生を振り返る
大切な時間になるかもしれません。

(※実際にはそのような機会は少ないですが)

そのとき、病気のことだけでなく、
その人がどんな気持ちでその時を過ごしていたか、
どんな人生を送ってきたかが記されていると、
少しでもその人らしさを感じられるものになるはずです。

実際に緩和ケア病棟では、
患者さまが旅立たれたあとに、
ご家族とカルテ記録をもとに、
涙を流しながら共有したことが何度もありました。

一人一人の物語

カルテは、ただの病気の記録ではなく、
その人の人生や物語が詰まっています。

誰かがどんな日々を送り、
何を大切にしてきたのかが、
そこに刻まれています。

私たち一人ひとりの人生も、
目に見えない形で
たくさんの物語を残しているのかもしれません。

記録に残すかどうかに関わらず、
日々の中で感じたこと、
歩んできた道は大切にしたいですね。

自分の物語を、
しっかりと生きることの大切さを
あらためて感じてるものとなりますように。

最後までお読み頂き、ありがとうございました

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

Profile

管理栄養士
臨床傾聴士
食物栄養学修士
PNTトレーナー
分子栄養学カウンセラー
アスリートフードマイスター

詳しいプロフィールはこちら

目次