
「新年度がはじまってなんだか元気がない?」「朝起きるの、こんなにしんどそうだったかな?」など、そんな変化に不安を感じていませんか?実は4月の「言葉にしていない疲れ」が5月の不調(5月病)につながります。この記事では、22年間の臨床経験をもつ管理栄養士の視点から、成長期の子どもの心と身体を守る「食事・睡眠・関わり方」のポイントをお伝えします。
子どもは新学期になぜ5月病になりやすい?
新学期に子どもが疲れやすい最大の理由は、体内のホメオスタシス(恒常性維持機能)がフル回転しているからなのです。ホメオスタシスは、外の世界がどう変わっても、体温や自律神経などが「体内をいつも通りに保とうとする力」のこと。スマホでいえば、電波の悪い場所で一生懸命電波を探して、バッテリーを消耗している状態なのです。
環境の激変と「頑張りすぎ」
新学期は、クラス替え、担任の交代、入学・進学に伴う学習内容のレベルアップなど、子どもにとって、とても大きな変化が重なりますよね。大人も同じだと思います。特に「がんばらなければ!」と気が張っていることも多く、無理に新しい環境に、『無意識のうちに』適応しようとして、心のSOSに気づかないことがよくあります。
継続したストレスによる幸せホルモンの減少と自律神経の乱れ
新生活の強いストレスを受け続けると、脳内の「セロトニン(幸せホルモン)」や「ノルアドレナリン(集中ホルモン)」、「ドーパミン(快感ホルモン)」などの神経伝達物質が減少します。これにより、気分の安定が難しくなったり、自律神経のバランスが乱れて、眠りが浅くなったり、意味もなくイライラしたり不安になったりします。


連休(GW)による緊張の緩和
4月中の過度な緊張状態が、ゴールデンウィークという長期休暇によって一度緩んでしまいます。この大型連休をきっかけに「緊張の糸」がぷっつりと切れてしまい、それまで蓄積されていた疲れやストレスが一気に表面化することで、登校渋りや無気力といった症状が現れやすくなります。
見逃さないで!成長期の子どもにあらわれやすいSOSサイン
精神的・行動面の変化
情緒の不安定:イライラ、ソワソワする、表情が暗い
意欲の低下:無気力状態
コミュニケーションの変化:急に学校の話しをしない、甘えが目立つ
身体的な症状(不定愁訴)
睡眠障害:夜眠れない、朝起きられない
食欲の変化:食欲がない、食べる量が減る
体調不良の訴え:原因がはっきりしない頭痛、腹痛など
学習・学校生活への影響
集中力の低下:忘れ物が多い、学力低下
登校渋り:朝になると登校や通園を拒否する
これらのサインは、セロトニン(幸せホルモン)などが減少したり、自律神経のバランスが乱れることで引き起こされます。子どもは自分の不調を言葉でうまく伝えられないことも多く、周囲の大人が甘えだと一蹴せずに、些細な変化に気づき、じっくり話しを聴いたりスキンシップをとったりしてサポートすることが重要です。


5月病予防のためにとりいれたい3つの生活習慣
1、朝日と睡眠で自律神経を整える
朝日を浴びる:起床直後に太陽の光をたっぷり浴びることで、心の安定ややる気をもたらすセロトニンの分泌が活発になります。
デジタルデバイスの制限:現代の子どもには、誘惑が多すぎますよね。親世代が幼少期になかったスマホやYouTubeなど。高度なアルゴリズム技術によって、快楽物質であるドーパミンが過剰分泌となり、「もっともっと」と依存状態になるように設計されています。また、視覚から入る明るい光が脳を興奮状態にさせ、夜になっても眠たくならなかったり、眠りが浅くなる要因となっています。
充分な睡眠時間の確保:睡眠中には、成長ホルモンやメラトニンが分泌され、脳と身体の成長を助けます。日本人は世界一眠らない国です。子どもも同様。せめて21時までの就寝を心掛け、「長さ」と「質」を大切にしましょう。
2、朝ごはんで幸せホルモン:セロトニンを増やす
トリプトファンを摂取:セロトニンの原料となる「トリプトファン」(大豆製品、卵、肉、魚、バナナなど)や、その合成を助ける「ビタミンB6」(マグロ、カツオ、赤み肉、アボカドなど)を積極的に摂りましょう。時間がなければ、バナナ1本と牛乳だけでもOK!余裕があれば、おにぎりとお味噌汁、納豆やゆで卵などあればなおよいですね。
腸内環境を整える:セロトニンの約90%は腸内で生成されるため、食物繊維をしっかり摂り、発酵食品も加えながら、腸内細菌のバランスを保つことが大切です。白砂糖や人工甘味料などは、腸内環境を悪化させます。
よく噛んで食べる:よく噛んで食べることもセロトニンに分泌を増やしますし、消化の助けにもなるので、家族で噛むことを意識しましょう。


3、日中の運動で「夜の睡眠の質」を上げる
ストレスの軽減:日光を浴びながら適度に身体を動かすことは、ストレスや不安の解消、幸福度の向上につながるといわれています。
入眠をスムーズにする:日中にエネルギーをしっかり消費することで、心地よい疲労感が得られ、夜の寝つきが良くなります。
自律神経が整う:外遊びを通じて気温の変化に触れたり汗をかいたりすることは、自律神経が整い、子どもの意欲や自発性を育みます。
家庭でできる優しい関わり方
1、心に寄り添うコミュニケーション
「聴く」ことに徹する:1日に数分でもよいので、子どもの話を遮らずにじっくり聴く時間をつくることが大切です。何気ない会話を増やして、子どもが自然に悩みや気持ちを打ち明けられるような安心できる空気感がいいですよね。
「肯定的」な言葉がけ:「焦らず少しずつでいいよ」「そのままでいいよ」といった肯定的な言葉をかけることで、子どもの心は軽くなります。
安心感を届ける:真面目な子ほど「きちんとやらなければ」と自分を追い込みやすいため、親が完璧を求めず、ただ安心してそのままの自分でいられるような雰囲気づくりを。
2、たっぷりのスキンシップで情緒の安定
甘えさせてあげる:緊張の糸をほぐすために、抱きしめたり手をつないだりするスキンシップを意識的に増やしましょう。以前より甘えが目立つようになるのはSOSのサインであることが多いため、その気持ちに添ってあたたかく見守ることが大切です。
家族が笑顔で接する:家族が笑顔でゆったりとしたペースで接することで、家庭を1番の安心できる場所にしましょう。
3、生活リズムと健康のサポート
早寝・早起き・朝ごはんや、デジタル機器との距離感など、上記の通りです。
特に1と2は、私たちが親にしてもらったこと、またして欲しかったことではないでしょうか。
もし家庭での対応だけで不安な場合や、子どもが自分のことを話そうとしない場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関などの専門家に相談し、連携をとることも有効な手段です。
管理栄養士として伝えたい1番の未来への投資
22年間の臨床経験から感じるのは、「完璧主義」の罠でしょうか。
食事のことで悩みすぎて、お母さんやお父さん自身が疲れてしまっては、本末転倒です。親の緊張は、子どもにも驚くほど伝わっています。食事を完璧にするより、まずは家族で「笑って食べる時間」を確保することが何よりも大切です。
また、スマホやAIや、人間の進化のスピードと比較にならないくらいのテクノロジーの変化に、人間の脳は本当はついていけていない。それよりも、もっと大切なものがあるはずですよね。季節を感じ、美味しいね、楽しいね、一緒だと嬉しいねと、特別な対応よりみ、毎日の生活習慣と安心できる関わりこそが、子どもの力を支えるいちばんの土台です。
新年度の「ゆらぎ」は、決して「弱さ」や「甘え」ではありません。まずは一緒に、今日からできる一歩を見つけていきましょう。お悩みの方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。
あなたの、そしてお子さんの「今」を心から応援しています。









