
家族もいる。仕事もある。恵まれているはずなのに、後悔や憎しみの感情があり、毎日が苦しい。心にぽっかりと穴があいたまま、笑顔の仮面をかぶって生きているようだ。
そんな、自分でもわからない正体不明の「生きづらさ」の根っこには、実はあなたの中にある『未解決のグリーフ(深い悲しみ・喪失感)』が隠れているかもしれません。
グリーフとは、大切なものを失ったときに生まれる、深い悲しみや喪失感のことです。そしてそれは、死別だけに限りません。
誰もが経験する、死別以外のグリーフとは
「グリーフ(悲嘆)」という言葉を聞くと、多くの人は、「大切な人との死別」と思い浮かべるかもしれません。もちろん愛する人との別れは、人生最大のグリーフです。
でも実は、私たちの日常には、目には見えないたくさんの「喪失」が溢れています。
死別だけではない、誰もが人生のどこかで経験するかもしれない「喪失によるグリーフ」には、例えば以下のようなものがあります。
人間関係の喪失
離婚や失恋、信じていた友人との離別や疎遠など
社会的役割・アイデンティティの喪失
転職や退職、キャリアの挫折、役職を退くこと、目標を見失うこと
身体的・機能的な喪失
若さや健康の衰え、病気やケガによる身体の変化、かつて当たり前にできていたことができなくなること、親の介護中に目の当たりにする「親の衰え」など
環境の喪失
住み慣れた土地や実家からの引越し、地震や水害等の日常の崩壊
愛情・愛着の喪失
「愛されたかった」「認められたかった」という幼少期得られなかった愛情の欠乏、安心・安全とはいえなかった家庭環境、理想の家族像の崩壊、自尊心の欠落など
なぜ「正体不明の生きづらさ」になってしまうのか

では、なぜこれらの喪失が、原因不明の「生きづらさ」へと形を変えてしまうのでしょうか。
それは死別ではない喪失が、周囲の人からも、何より自分自身からも、「大したことない」「よくあること」だと片付けられやすいからです。誰にも、自分にさえも認められなかった悲しみは、行き場を失い、意識の奥底に封じ込められてしまいます。
世の中には、学校や仕事場でミスをしたり、人間関係のトラブルがあっても、それを前向きに捉え、すぐに気持ちを切り替えていつもの日常に戻れる(ように見える)人もいます。
だけど、心のどこかに繊細な生きづらさを抱えている人は、「このくらいで落ち込んでいてはダメだ」「もっと大変な人がいるはずだ。」と、自分に必要以上に厳しく向き合い、湧き上がる悲しみや悔しさにギュッと蓋をしてしまうのです。
蓋をされた悲しみ(未解決のグリーフ)は、時間が経っても消えることはありません。数年、数十年経っても、心の中で未処理のまま生き続けます。そしてふとした瞬間に、原因不明の、「理由なきイライラ」や「突然襲ってくる虚無感」、「漠然とした不安」となって、心の土台となっています。
この状態は、心のブレーキを全力で踏み続けたまま、アクセルを必死に踏んでいるようなもの。どれだけの努力を重ねても、どれだけ素敵なキャリアや服で着飾っていても、常にエネルギーが漏れ続け、生きている真の満足感や心の安らぎを得ることが難しくなってしまいます。
今日からできるセルフケア3ステップ
もし、今のあなたに心当たりがあるなら、それは弱いからでもワガママだからでもありません。心が「もう限界、気づいて」とサインを出しているのです。
1、あれは「悲しかった」「悔しかった」と認める
どんなに小さな喪失でも、世間一般では「よくあること」とされる出来事であっても、自分の心が傷ついた事実は、あなただけのものです。「こんなことで」とジャッジ(善悪の評価)をせず、「あの時、私は本当に傷ついたんだな」「悲しかったんだな」と、その事実をそのまま両手で受け止めてあげてください。
2、感情に名前をつけてみる
心の中でくすぶっているモヤモヤに、「後悔」「憎しみ」「寂しさ」「悔しさ」といった名前をつけてみましょう。ネガティブな感情を抱く自分を否定する必要は一切ありません。「そうだったんだね」「辛かったね」と、自分自身が1番の理解者になって、その声をただ聴いてあげてください。
3、1人で抱え込まずに差し出す
信頼できる人や身近にいる専門家に、まとまらない言葉のままでいいから話してみる。それが無理そうなら、ノートに書きなぐってみる。誰にも見せずに捨てていいのです。大切なのは、脳の中から一旦外へ出すことです。
過去の悲しみを癒すことは、これからの自分を生きること
未解決のグリーフに気づき光をあてること。
それは決して、過去に執着することでも、ネガティブなことでもありません。むしろ長い間ギュッと踏み続けていた心のブレーキをそっと離し、これからの人生を、他者基準ではなく、自分が主導権をもって軽やかに生きるための「リスタート(再出発)」なのです。
心の中の小さな自分の声を、今日から少しずつ、聴いてあげませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました




コメント