「見えない喪失」を抱えて生きる|言葉にならない痛みへの寄り添い

見えない喪失
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「見えない喪失」を抱えて生きる

私たちの人生には、周りの人から見えない“喪失”が静かに積もっていく瞬間があります。
誰かが亡くなったわけでも、明らかに大きな出来事があったわけでもない。でも…

心のどこかがスッと冷えていく。
説明できない痛みが胸に残る。
誰にも気づかれないまま、ひとりで抱える。

そんな“見えない喪失”を、私も抱えて生きてきたし、多くの方の語りの中で何度も見つけてきました。

形がないからこそ苦しい

喪失というと「大切な人の死」だけを思い浮かべる人は多いですが、
本当は、日常の中にはこんな喪失がたくさんあります。

  • 期待していた未来を失うこと
  • 関係性が少しずつ擦り減っていくこと
  • あの頃の自分のままでいられなくなること
  • 心の余裕や、安全基地の喪失
  • 誰にも言えない“自分の中だけの痛み”

これらは目に見えない。
だからこそ、周りに理解されにくく、語ることも難しくなります。

なぜ「見えない喪失」は深い苦しみになるのか?

① 誰も気づかないから
「大丈夫そうに見えるよ」と言われるほど、孤独は深まることがあります。

② 自分でも“たいしたことない”と言い聞かせてしまうから
こうして押し込めた痛みは、ゆっくりと心の奥で固まります。

③ 語れないと、人は癒されないから
悲しみには、言葉にして初めて動き出す部分があります。
語れない喪失は、処理ができず、心の中に滞り続けてしまうのです。

“見えない喪失”を抱えた自分へできること

① 自分の痛みを認識する
「こんなことで」と否定しないで、
“私にとっては大事だった”と丁寧に扱ってあげる。

② 安心して話せる場所を持つ
アドバイスはいらない。ただ聴いてもらえる関係は、心の土台になります。

③ 小さなセルフケアを続ける
食事・睡眠・休息・深呼吸。
身体の回復は、心の回復と直結しています。

誰かの見えない喪失に寄り添うために

喪失の大きさは、他人が決めるものではありません。
語れるタイミングも、その人のペースも、すべてその人のもの。

寄り添いとは、
「こうしたら?」ではなく、「ここにいるよ」という存在の届け方。
Not Doing, But Being ── まさに“そばにいるというケア”です。

おわりに

見えない喪失に気づくことが、癒しの入口になる

喪失は、目に見えるかどうかに関係なく、本当に大切なものを奪っていきます。
でも、その痛みの存在を認められたとき、人は少しずつ前に進めるようになります。

見えない喪失を抱えるあなたが、
「一人じゃない」と感じられる瞬間が、どこかで訪れますように。

最後までお読み頂き、ありがとうございました

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Profile

管理栄養士
臨床傾聴士
食物栄養学修士
PNTトレーナー
分子栄養学カウンセラー
アスリートフードマイスター

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