上智大学グリーフケア研究所
私は2020年4月から2年間、上智大学のグリーフケア研究所というところで、グリーフケアを学びました。
「グリーフケア」という言葉、ご存知でしょうか?
日本ではまだまだ浸透していないのかと思います。
グリーフケアは、100年前にアメリカで生まれました。
海外、特に欧米では、医療や介護、教育現場などでは、当たり前のように存在しているそうです。
グリーフって?
グリーフというのは、喪失、失う、という意味です。
この喪失したものは、人それぞれです。
病気や事故で、大切な人が旅立ち、自分は残された。これもグリーフです。
事故や障害で、身体の一部がなくなった。例えば、腕や足を失った。目を失い義眼になった。
火災や災害で、自宅や思い出のものを失った。
今まで当たり前のように隣にいてくれた人をなくすこと、
当たり前のように存在していたものを失うこと。
これが「グリーフ」です。
形のないものでは、名誉や地位、権力、収入、信頼や友情もそうですね。
昇格昇進も、別の側面からするとグリーフになります。
今までの立場や業務を失って、責任ある立場になることも、人によってはグリーフを抱えることになります。
失恋、婚約破棄っていうとなんか淡いもののように聞こえるけど、やっぱり大好きだった人やパートナーを失うこと。
大きな喪失ですね。
曖昧なグリーフ
例えば、「死産」。
他者からは、「大変だったねー。」という言葉になるかもしれません。
でも、本人たちにしたら、自分が身ごもった我が子を失った。
正式な葬儀もなしに、いつもの日常に、「戻る必要がある。」
他には、自死や行方不明も、それにあたります。
また、COVID-19のような、世界規模の感染症による急性死による喪失も、
非常に曖昧なグリーフとなり、「さよならのない別れ」のような状態です。
他には、認知症や脳死状態にある方とは、
肉体はあるのに、心は通じ合っていない場合、
「別れのないさよなら」のような状態となります。
見えない大きなグリーフを抱えています。
ケアって?
ケア(care)という言葉。これがまだ深いんですよね。
日本では、介護とかお世話という意味にもなるし、手入れという意味にもなります。
例えば、髪の毛のヘアケアとか。
英訳すると、「心配で心が落ち着かない状態だから、注意深く見守る」、という意味になります。
まさにグリーフケアですね。
グリーフケアが目指すところ
完全な治癒とか現状復帰、ではないんですね。
失ったものは元には戻らない。旅立った人の肉体は帰ってこない。
だからその状態に、
適応する(adjustment)とか、
回復する(recovery)。
そこがグリーフケアの目指すところになります。
グリーフケアが必要な人
全人類が対象です。
グリーフを抱えていない人はいない。
グリーフは本当に人それぞれで、「私のグリーフなんて…」みたいに、
人と比べるものでもないです。
多種多様であり、大きい小さい、重い軽いなんてものはない。
これがグリーフケアというものです。
必要としている多くの人に、グリーフケアを届けたいです。
まずはそこからはじまります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました