ネガティブ・ケイパビリティ 〜曖昧な事態を受け入れるチカラ〜

曖昧さ
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曖昧な状況にいるあなたへ

人生には、どうしても答えが見つからないことがありますよね。愛する存在を失った悲しみ、思い通りにならない子育てやキャリア、どうしようもない不安…。そんな『曖昧な状況』に直面したとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?

ネガティブ・ケイパビリティというチカラ

▲ イギリスの詩人ジョン・キーツ(19世紀)

ネガティブ・ケイパビリティをいう言葉をご存知でしょうか?

この概念は、もともと19世紀のイギリスの詩人ジョン・キーツによって提唱されました。

ネガティブ・ケイパビリティとは、『答えがない曖昧な状況を焦らずに受け入れる力』のことをいいます。「不確実さ」や「疑い」、「未知」を許容し、答えの出ない事態に耐える能力ともいえます。

VUCAの時代

私たちが生きている現代は、「VUCAの時代」と呼ばれることがあります。

VUCAとは、Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、予測不能で不安定な状況を表しています。

AIや、環境問題、戦争やパンデミックなど、私たちの日常はこれまで以上に複雑で予測困難な変化にさらされていますよね。例えば、気候変動による自然災害、突然の経済危機、感染症の拡大…。これらの事態は誰もが想定していなかったものですが、私たちはそれらに直面し、対応し続けています、今この瞬間も。

今、私たちは、「正解」を求めるのではなく、その曖昧さを受け入れ、その中で柔軟に行動していく力が必要とされています。学歴や資格といった目に見える知識やスキルだけでなく、「答えが出ない状況の中でも進む力」、すなわちネガティブ・ケイパビリティのような姿勢がますます重要になってきているのです。

曖昧な事態を受け入れるための3つの心構え

すぐに答えを出さない

現代の日本社会では、「早急に答えを出す」ことが求められる風潮にあります。
「そうでなければならない」というような。

それでも、すぐに答えを出す必要はないのです。
自分自身でじっくり時間をとって、思い存分考えましょう

不確実性を受け入れる

物事の、「曖昧さ」や「矛盾」を恐れず拒否せず、様々な可能性を考えましょう。

人生の全てに、想像力を働かせ続けることも大切です。

そもそも、確実なことは存在しないのかもしれません。
だからこそ、一瞬一瞬が奇跡であり、感謝するのでしょう。

思考し続ける

答えが出なくても諦めずに、考え続けることが大切です。
その時に、紙に書くことをおすすめします。

脳でグルグル考えていることを、一度自分の手で外に出す(紙に書き出す)のです。

そうすることで、重荷を一度取り出すことができる
そして、可視化(自分の目で見ること)ができる

喪失と共に生きる

愛する存在を亡くした後、その理由や意味なんて、簡単に見つけられない。「全てのことに意味がある」?そんなこと思えるわけがない。

「なぜあの人が?」「どうして私が?」という人生の問いに答えを見出すことができないまま、それでも自分の生活を少しずつ立て直していく必要がある。

その中で、悲しみを消そうしたり、乗り越えようとするのではなく、「悲しみと共に生きる」方法を共に見つけていきませんか。

曖昧さの中に見つける希望

私たちは人生の中で、答えが見えない状況や、理不尽な出来事に何度も何度も遭遇します。

辛い。孤独だ。また?なぜ私だけ??
そんな問いが心を占めて、たくさんのネガティブな感情が湧き出てくることもあると思います。その感情に蓋をしたり、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。

そんな時こそ、その状況に無理に答えを出そうとせず、その曖昧さの中にとどまる勇気を持つことが、次の一歩を生み出す力になります。

ネガティブ・ケイパビリティとは、「すぐに解決できない状況を受け入れながらも、自分にできることを少しずつ見つけていく力」です。それは特別な人だけが持っている能力ではなく、誰の中にもあなたの中にも備わっているものなのです。

大切なのは、他人や時代と比べることではなく、あなた自身のペースを尊重すること。急ぐ必要はありません。一歩ずつ、あなただけのリズムで進んでいきましょう。曖昧さの中にも、新しい可能性が必ず眠っています

立ち止まっても、後ずさりしてもいい。答えがなくても、曖昧さを抱えながらも存在する姿勢こそが、希望への道となるのです。

ネガティブ・ケイパビリティについて。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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Profile

管理栄養士
臨床傾聴士
食物栄養学修士
PNTトレーナー
分子栄養学カウンセラー
アスリートフードマイスター

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